書評 (Book Reviews)
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The Green Hills of Earth (地球の緑の丘)
Robert A. Heinlein (ロバート・A・ハインライン)
◎書籍概要 (Book Description)
 宇宙ステーション1の建設には困難が付きまとったが、それは主に人的な問題だった。 密造酒を作る輩、賭博を行う輩。 こうした悪党をクビにして要員を補充していたら、もっとやっかいな問題を抱える羽目になる・・・。
-「デリラと宇宙野郎たち」 Delilah and the Space-Rigger

 舞台を観るため、ペンバートンが妻と出かけようとしたその時、電話が鳴り始める。 ロケット操縦士に確約された休暇はないも同然だった。 仕事の途中、妻への手紙を書き綴る。 謝罪する手紙、妻を諭そうとする手紙、転職を決意する手紙。 書いては破り捨てるを繰り返すうちに、思わぬ提案を受けることになる。
-「宇宙パイロット」 Space Jockey

 副爆撃主任を勤めるダルクィスト中尉は、突然、大佐から呼出される。 恐縮する彼に対し、大佐は、世界大戦を防ぐための行動への参画を求める。 大佐の求めに対し、中尉のとった行動は?
-「果てしなき看視」 The Long Watch

 取材のために月を訪れたジャックは、コロナ観測計画のために掘り進められているトンネルを見学する。 安全確保のために設けられた幾つものエア・ロックをくぐり抜け、掘削現場にたどり着いたが、説明を受けている最中に何かが起きる。 月震? 爆発? 救援は・・・?
-「お席へどうぞ、諸君!」 Gentlemen, Be Seated

 ルナ・シティーは退屈だ。ニュー・ヨークの地下と変わりゃしない、体重以外はね。 宇宙酔いの母さんとチビ助を置いて、父さんと僕がかけようとしたものだから、ちょっとした面倒が起きる。 チビ助が大人しく従う訳がないし、母さんはチビ助の扱い方を分かっちゃいない。 だから厄介なことが起きるんだ。
-「黒い孔」 The Black Pits of Luna

 アランとジョセフィンは歓喜に包まれていた。いよいよ故郷に帰るのだ! 月の窮屈な洞窟よ、さようなら。これから青い空と新鮮な空気に戻るのだ。 しかし、特急ロケットの加速に悩まされることを皮切りに、二人には数々の困難が待ち受ける・・・。
-「故郷」 "It's Great to Be Back!"

 「はい、総合サービスです。私は担当のコーメットと申します。」
 「犬の散歩も引き受けます」をモットーとする何でも屋「総合サービス」へ、突然、奇妙なお客が現われる。 社長への面会を要求する彼は、3D電話の前でそっと惑星政府高官が持つ記章を見せる。 そして、面会の場で彼が要求した内容は、おおよそ現在の科学で実現できるとは思えない要求だった・・・。
-「犬の散歩も引き受けます」 '...We Also Walk Dogs'

 「僕は治るのでしょうか。」
 心理学者に質問する元宇宙飛行士は、極度の高所恐怖症に陥っていた。 もはや元の仕事に戻ることは望めず、新たな生活を見つけるしか彼に残された道はなかった。 いったい彼に起こった事件とは? 彼を待ち受ける新たな試練は?
-「宇宙での試練」 Ordeal in Space

 誰もが歌ったことがある曲「地球の緑の丘」は、リスリングが最後の航海で歌った曲だった。 盲目の吟遊詩人リスリングは、核エンジンのお守りをするジェットマンだったが、不幸な事故で視力を失う。 出版されていない彼の多くの曲は、決して上品なものとは言えず、彼の風貌も同じだった。 しかし彼の人生は、人間そのものだった。
-「地球の緑の丘」 The Green Hills of Earth

 弁護士ウィンゲートは、「金星にあるのは奴隷制度だ!」と主張する資産家サムと飲みながら口論をする。 しかし、次に気づいた時、自分が酷い状態に陥っていることに気づく。 酷いのは二日酔いだけではない、いや、二日酔いは遥かにマシな出来事だ。 彼は、金星へ向かう「宵の明星」号に労働者として乗船しているのだった。 いったい何の間違いが? この苦境から逃れる術はあるのか?
-「帝国の論理」 Logic of Empire
◎書評 (Book Review)
 1940年代に、ハインラインが西暦2000年前後の物語を綴った短編集です。 比較的長めの物語である「帝国の論理」以外は、ハインライン先生の爺の説教めいたところがなく、軽快な物語となっています。 邦訳版が見当たらなかったのでペーパーバックで読んだのですが、一部の物語を除いて、「月は無慈悲な夜の女王 (The Moon Is a Harsh Mistress)」に出てくるような何を意味しているのか分かりにくい口語も少なく、(ハインラインの本にしては)英語でも読みやすくなっています。
 どの物語も可笑しかったり、胸が熱くなったりしますが、最後に出てくる「帝国の倫理」には考えさせられます。 確かに、虐げられている人たちが自ら立ち上がらない限り、物事は決して良い方向に転がらないと思うけれど、今の北朝鮮やミャンマー、ジンバブエを見ていると、本当にそんなことが可能なのか判断できません。 かといって、日本のように敗戦によって強制的に軍事政権から解放された国は、倫理が堕落し、自ら社会を良くしようとする心が失われます。 昨今、凄惨な事件や汚職、詐称、詐欺がはびこっていますが、体制や制度を批判をする人たち、非現実的な解決策を言う人たちは幾らでもいるが、自ら汗をかいて解決していこうとする建設的な人たちは滅多にいません。 大半の人が無責任で荒唐無稽な発言を繰り返しているけれど、それ自体はそれほど悪いことではなく、悪いを通り越して始末に負えないのは、自分たちが建設的で真っ当なことを言っていると勘違いしていることでしょう。 時々、日本社会は落ちるところまで落ちないと、真の意味で敗戦から立ち直ることができないのではないかと思います。
 なお、「デリラと宇宙野郎たち」のタイトルにある「デリラ (Delilah)」とは、聖書の中でペリシテ人へ秘密を漏らして裏切る女性のことで、人を惑わす名詞としても使われます。
独断と偏見に基づくお勧め度 ☆☆☆☆
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