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Variable Star Robert A. Heinlein (ロバート・A・ハインライン), Spider Robinson (スパイダー・ロビンソン) |
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 | 書籍概要 (Book Description) |
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演奏家にして作曲家の少年ジョエルは、ノーベル賞受賞者の子としてガニメデで生まれ、ガニメデから地球へ留学していた。
恋人のジニーとともにプロム(卒業パーティー)を抜け出したジョエルは、ジニーと結婚についてささいな口論をすることになる。
しかし、これが数奇な運命をたどる最初のきっかけだった。
ジニーが車に家へ帰るように指示を出すと、ジニーの家とは違う方向へ飛び始める。そればかりか、次第に法で許されていない高度、速度で飛び始める。
泣きじゃくりながら謝るジニーは、ジョエルが予想もしなかった事実を口にする。
彼女は、太陽系で最大の派閥を支配するコンラド家の生まれだったのだ。
北極圏の地中に隠された館に到着したジョエルは、ジニーの祖父「コンラド家のコンラド」と面会し、結婚の許しを乞うことになる。
しかし、ジニーと結婚することはコンラド家に入ることを意味し、同時に自分のすべての夢を放棄することでもあった。
ジョエルは、偶然知り合った少女イブリンの助けを借り、密かに館を脱出する。
そして失意のまま移民船に乗込み、船内時間にして20年、船外時間にすると90年、85光年の彼方へ旅立つ決意をする。
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 | 書評 (Book Review) |
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1955年にハインラインが作成したプロットをもとに、スパイダー・ロビンソンが長編小説にした物語です。
ロビンソンの言葉を借りれば、20年の時を経たハインラインとの合作だそうです。
物語としてはなかなか面白いのですが、ハインラインを意識しつつもハインラインの言葉で語られる訳でもなく、とても中途半端な印象を受けます。
もしハインラインがこの物語を書き上げたなら、おそらく物語の長さは半分ほどになり、軽快な青少年向けジュブナイルになっていたでしょう。
物語のあちこちにハインラインの作品から抽出したトリビア(ネタ)が仕込まれ、ハインラインのファンが楽しめるように配慮されていますが、
やたら冗長な表現や子供に読ませたくない汚い言葉遣いが多く、正直なところ非常に読みづらくて苦労しました。
ハインラインを意識せず、ロビンソンのオリジナルの物語として書いたら、もう少し違っていたのではないでしょうか。
個人的な意見ですが、ハインラインの快活な英語を読み慣れた人は、英語版を読むのを避けた方が良いと思います。
優秀な翻訳者が邦訳すればそこそこ楽しい物語になるのではないでしょうか。
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独断と偏見に基づくお勧め度 ☆☆☆☆☆
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