書評 (Book Reviews)
国内の著者: | //// | //// | //// | //// | //// | //// | //// | // | //// | / | |
海外の著者: | A | B | C | D | E | F | G | H | I | J | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T | U | V | W | X | Y | Z | 野田無線 on the Web


楽天ブックス


WWW:Wonder
Robert J. Sawyer (ロバート・J・ソウヤー)
◎書籍概要 (Book Description)
 WATCHの攻撃を阻止したケイトリンとウェブマインドだったが、今度はウェブマインドとケイトリンの関係が暴かれてしまう。 やむを得ずテレビ番組に登場するケイトリンだったが、散々な結果を招く。

 ウェブマインドの説得に応じ、野蛮な道を捨てたホボは、ウェブマインドから1つ依頼を受けることになる。 国連から演説を依頼されたウェブマインドは、象徴的な登場を狙うのだった。

 中国共産党に、東京大学から依頼が届いた。 人権活動家ヲン・ウェイ・ジェンの障害を、黒田博士が治すと言うのだ。 中国共産党はこれを餌に、ヲンの卓越した能力をネット監視のために使わせる。 しかし、その裏には、ウェブマインドのある目的が隠されている。

 ウェブマインドの抹殺に失敗したWATCHのヒューム大佐は、選挙を控えた大統領からウェブマインドへの攻撃を禁止される。 しかし、それではウェブマインドの進化を許すことになってしまう。 大統領の命令より米国を守ることを優先する彼は、ハッカーのリストを手に、ウェブマインド抹殺の行動に出る。 しかし奇妙なことに、訪ねるハッカーはことごとく謎の失踪を始める。 彼は、裏にウェブマインドの暗躍があることを疑い始める。
◎書評 (Book Review)
 ソーヤー氏のWWW三部作の第3話です。 いよいよ4つの物語が融合し、ウェブマインドの人間性のための行動が展開します。

 ウェブマインドの抹殺を試みるのは、ヒューム大佐だけではありません。 中国共産党も、その存在を中国国民から切り離すことを目指します。 これに対し、ケイトリンとウェブマインドが、再び共闘します。

 WATCHとヒューム大佐は、ハッカーの失踪には、ウェブマインドの関与があったことを突き止めます。 そして、失踪したハッカーの居場所へ向かったヒューム大佐は、逆にウェブマインドの配下によって捕われますが、それによって歴史的な出来事の目撃者になります。

 さすがソーヤーですね。圧巻の結末です。 ケイトリンのネット視の使い方や描写は、奇妙な違和感を感じます。 でも、SFと言えば、AIやロボットは必ず人類の敵になる。 これに真っ向から対峙するソウヤーは、まるでアシモフのようですね。 そしてアシモフの物語と同様に、ウェブマインドが人類を救います。 エピローグに書かれるウェブマインドの言葉に、感動を覚える一冊と思います。
独断と偏見に基づくお勧め度 ☆☆☆☆☆
Copyright (C) NODAMUSEN