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概要 |
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アストロ/サファリのパワーウィンドウモーターは,サーミスタが弱いのか? コイルが弱いのか? ウィンドウの可動部分の精度が悪いのか? どこが悪いのか定かではありませんが,パワーウィンドウが動かなくなる車両が多いようです。
ここでは,保護回路(サーミスタ)をバイパスすることでパワーウィンドウモーターを復旧する方法を記載しますが,かなり危険な修理です。
可能な限り,新品のパワーウィンドウモーターを入手して,モーターを交換することをお薦めします。
また,サーミスタをバイパスする場合は,最低でも,ウィンドウ機構がスムーズに動くように調整した後で行ってください。
保護回路なしで過電流が流れた場合,最悪,車両火災を引き起こす可能性があります。
幸いにしてハーネスの一部が燃えただけで済んだとしても,ハーネスが燃えた車両は全損扱いとなります。
サーミスタをバイパスされる方は,自己の責任において施工してください。
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パワーウィンドウモーターの取り外し |
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- 内張り剥がし
まず,ドアノブ付近のパーツを外します。
次に,中央の写真にあるような"内張り剥がし"を使うか,力技で(^^;)扉の内張りを剥がします。
- モーターユニットの取り外し
パワーウィンドウモーターユニットは,リベットで4箇所に留めで取り付けられています。このリベットを電動ドリルで飛ばしてユニットを取り外します。
なお,下の写真の車は,全塗装された車のため,内張りの中と外で色が変わっています。
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保護回路のバイパス |
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サーミスタは,過電流が流れると温度上昇し,抵抗値が上がって電流の量を抑えることによって回路を保護します。
サーミスタをバイパスされる方は,自己の責任において施工してください。
- パワーウィンドウモーターユニットの仕組み
ユニットの中は,下図のような仕組みになっています。
一般的に,モーターが動かなくなる原因は,ブラシの削れカスが接点と接点の間に詰まって,各コイルが短絡した状態になることです。
このため,多くのモーターは,接点の隙間を清掃することで復旧すると考えられます。
接点を清掃しても動かない場合は,サーミスタの不良が考えられますが,トラブルの原因になるため,単体の部品としてサーミスタが販売されていません。
- パワーウィンドウモーターユニットの分解
電源コネクタ部分の白いプラスティック部品を外すことで,ユニットを分解することができます。
白いプラスティック部品は,右の写真の赤丸で示す3カ所で,金属部分が曲げられて留められています。
これをペンチ等で外側に曲げることで引き抜くことができます。
白いプラスティック部品は,電源コネクタ,サーミスタ,ブラシが取り付けられており,右の写真の赤丸で囲った部分に,銅板で挟まれたサーミスタが取り付けられています。
- サーミスタのパイパス
サーミスタをパイパスする前に,必ずコイル接点の隙間を清掃し,一度元に戻してください。
清掃によってモーターが動作するようになった場合は,決してサーミスタをパイパスしないでください。
パワーウィンドウモーターには,2〜3Aもの電流が流れます。パイパスは,2s.q.ケーブル等の比較的容量の大きなものを使用してください。
パイパスは,右の写真の赤色の線のように,電源コネクタ側からブラシ側へ,コイル接点の動作の邪魔にならないようにハンダ付けすることで,サーミスタをバイパスします。
- パワーウィンドウユニットの組立
一度,コイルをペンチ等で引き抜き(永久磁石の影響で,かなり力が要ります),ラジオペンチ等でブラシを抑えながら,右の写真のようにコイル接点部分を差し込みます。
その後,ブラシ,コイルを一緒にユニットの中へ差し込みます。
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パワーウィンドウモーターの取り付け |
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パワーウィンドウモーターユニットの取り付けは,下の写真のように,裏から適当な長さのボルトを刺して,ダブルナット又はナット+バネワッシャーで取り付けます。
リベットで留めても構いませんが,再び交換しなければならない事態に備えて,ボルトで留めることを薦めます。
新品や中古のモーターユニットを取り付けて,再び動作不良に陥った場合は,ウィンドウ可動部分の引っかかりやグリス切れが考えられます。
そちらの修理をしてみてください。
なお,サーミスタをパイパスした場合は,ウィンドウ可動部分に問題があっても,構わずに大きな電力が流れます・・・・・・。
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