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概要 |
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アストロ・サファリの電気系トラブルでよく耳にするのは,ワイパーの動作不良です。
症状としては突然まったく動作不良になったり,間欠・ロー・ハイのどれかだけ動かなくなったりとまちまちです。
ワイパーは雨天時の視界をまもる大切な装置です。ここでは,その予防と対策の方法について紹介します。
まずはじめに,ワイパーが動作しなくなったときにボンネット内にあるワイパーモジュールを軽くたたいてみてください。
それで動くようになるならば以下で紹介する方法で対策ができます。
対策そのものは,ワイパーモジュール内の回路基盤で浮いてしまったハンダを盛り直すだけですので,ハンダ付作業を経験した方なら簡単に修理できます。
また,予防方法としては,ワイパーモジュールの筐体からボディにアース線を新たにつなぐだけですので素人でも簡単にできます。
- 【追記 '03/11/1】
- 2003年10月17日に当該障害のリコール(1,
2)が発表されました。
正規輸入車に乗られている方は,正規ディーラーに問い合わせましょう。
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ワイパーモジュール内の回路基盤の外し方 |
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必要な工具としては,T20のトルクスレンチ,マイナスドライバー(大,精密)です。
トルクスネジは,アストロ・サファリではいろいろな所で使用されていますので,セットで購入しておく事をおすすめします。
ホームセンターなどでは,2000円程度で8サイズ組のトルクスを売ってます。
- ワイパーモジュール
まず,車を止めてボンネットを開けます。奥やや中央にあるのがワイパーモジュールです。
3箇所のトルクスネジを外して黒いプラスチックの蓋を開ければ回路基盤が出てきます。
- リード線の取り外し
1.の回路基盤を取り外す前にやっておく事としてリード線の取り外しがあります。後回しにしてもかまいませんが,これを外さないと基盤が取り外せません。
通常写真のように抜け止めが付いていて,引っ張るだけでは外れないようになっています。
抜け止めにも返しがついていて抜けづらくなっていますから,下の方からドライバー(精密)で返しを押しつぶしてやれば抜け止めがはずせます。
抜け止めをはずしたらリード線が外れますが,浸水防止のゴムが付いているので,ドライバー(大)の先を使用してこじると外れます。
- 回路基盤の取り外し
ワイパーモジュールの蓋を開けると,回路基盤が出てきます。上半分が赤く見えますが,この部分はコーティングが施されているので,ハンダが浮いてしまうことはまずないでしょう。
コーティングされていない箇所のハンダをみてください。症状の現れている車は,どこかのハンダが割れ浮いて接触不良をおこしているでしょう。
回路基盤は,はめ込んであるだけですので,隙間にドライバー(精密)を入れてこじれば外すことができます。
特に写真のようにヨークとの接続箇所はピンが差し込まれているのできつくなっています。
回路基盤を割らないように慎重にはずしてください。
それと,取り外した回路基盤の反対面にグリスが付いていますので,触らないように気を付けてください。
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ハンダの盛り直し |
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必要な工具・材料としては,20W程度のハンダこて,太さ1〜2mmの電子工作用のハンダです。
ハンダ付け作業に自信の無い人は,なにかで練習しておく事をおすすめします。
手順は,こて先をハンダ付けする所へ2〜3秒しっかりあてて加熱し,そこへハンダを押し込むことがポイントです。
富士山のようにハンダが盛り上がるようにしてください。
- 作業準備
回路基盤についたグリスがつかないように,お椀などのような物の上にぐらつかないように回路基盤を置きます。
経験や,他の人の事例から写真の4箇所(電源の1箇所だけコーティングされています)のハンダが接触不良をおこしている事が多いようです。
写真でも一番上のハンダ付けが悪いのがおわかりいただけるでしょう。
ここがアース線の接続箇所で,これが接触不良をおこしていると電気の帰り道がなくなり,モーターが回らなくなってしまいます。
- ハンダづけ作業
火傷をしないように慎重にハンダ付けを行います。
ハンダを盛り直したものが右の図です。割れている箇所が1箇所だけでも,ついでですから4箇所とも盛り直しおくことをおすすめします。
ハンダを盛り直した基盤をワイパーモジュールに取り付ければ作業完了です。
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予防方法 |
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必要な工具・材料としては,T20トルクスレンチ,スパナ,太さAV2.0程度の電線,(アース接続端子,電工ペンチ)です。
回路基盤で1番接触不良が発生しやすいのがアース線の回路接続箇所です。(対策方法で示しています)
5本あるリード線の中にアース線があり,回路基盤を通してモータ部で回路の入っている筐体にアースを落としていますが,筐体と車体のボディアース間の接続が不十分です。
筆者の場合5オーム程度の抵抗値でつながってましたが,車によってはまっくの絶縁状態でした。
ここをバイパス的に接続してやればいいだけです。回路のアース線だけが接触不良の場合もこの方法だけで対策が可能です。
- バイパス・アース線の作成
太さAV2.0程度の電線を長さ10〜15cm程度で切り,両端に接続端子を圧着します。
この際,一方はトルクスネジで押さえますので,小さめの端子にしておかないと締め付けられません。
接続端子は必ずしも必要ではありません。無い場合は電線の先端を裸にしておけばOKです。
- バイパス・アース線の設置
作成したバイパス・アース線を写真のようにつなぐだけです。接続用の端子を使用しない場合はしっかりと巻き付けておいてください。
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おまけ |
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ワイパーモジュールへ来ているリード線です。参考までに各線の機能を記載します。
- WASH時にウォッシャーポンプを動作
- Hi,WASH時に電圧12V
- アース(GND)
- 常時電源12V
- 間欠時各電圧値(周期が短いほど高電圧),Low,MIST時に電圧12V
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