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ディジタルとアナログの比較
- PCを使って編集する,すなわちディジタルを使って編集することによって,時間にとらわれず自由な編集ができます。
ただし,便利に使えることが即ち「ディジタルが素晴らしい」ということに結びつきません。
人間の神経細胞を流れる微弱電気信号は,アナログのパルス信号になっています。
そして,光や音といった自然の波形を,ほぼそのまま電気信号に置き換えたのがアナログ信号です。
- 確かに,TVで使用しているビデオカメラでは,アナログの撮像管方式がほぼ全滅し,ディジタルのCCD方式に移り変わっています。
しかし,本当に美しい映像が必要な場面では,アナログの撮影フィルムが使われています。
どんなに性能の良いCCDカメラを使おうが,ペルチェ素子を何枚も重ねて冷やして感度を上げたとしても,CCDで撮影フィルム並の色つやを実現することは不可能です。
オーディオの世界でも,レコード盤は一部のマニア用になっていて,音楽CDが主流になっています。
しかし,高音質が要求されるスタジオ収録では,今でも8トラックのアナログテープが使われています。
また,単純に記録するデータをディジタル化すると,より高密度の記憶媒体が必要になります。
通信する場合は,より高度な交換施設や回線が必要になります。
- つまり,ただ単にディジタル化することは,より複雑なシステムや媒体,回線が必要になったり,容量が大きくなるか品質も悪くなったりするので,決して有意義なことではありません。
DVカメラが綺麗なのも,DVDが綺麗なのも,ディジタル高品位テレビが綺麗なのも,「最新技術で作られたもの」だから綺麗になっているの訳で,「ディジタルだから」綺麗な訳ではありません。
私の偏見かもしれませんが,ディジタル機器を使い始めた方々は,どうもディジタル信奉者になり安い傾向があるようです。
同じ音楽が入ってるLPレコードと音楽CDを切り替えながら聞き比べれば,アナログの方が艶のある音になっていることが分かります。
同様に,同じ映像をCCD方式で撮影したものと撮像管方式で撮影したものを比較すれば,解像度こそCCDにはかなわなくても,画面の色つやは撮像管方式に軍配が上がります。
- 【ノート】
- ディジタルは万能ではありません。なぜディジタル化するのか,ディジタル化によってどんなところが変わるのかを理解することが重要です。
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ディジタルの利点
- では,ディジタルのメリットは何でしょう?
- ISDN回線とアナログ公衆網を比べると,ISDNは,音の劣化がありません。
ISDNもアナログ公衆網も,どちらも同じ電気信号なので,通信距離が長くなると信号が劣化します。このため,どちらも中継途上の増幅器で信号を復元しています。
しかし,通信途上で波形が微妙に変わっていたり,雑音が入っていた場合,アナログ信号では,正常な波形なのか誤った波形かを区別する手段がありません。
このため,アナログ信号を増幅すると,波形が変質したり雑音が入ったままの変質したデータとして復元されてしまいます。
これに対し,ISDNでは,そもそも"0"と"1"の信号しかあり得ないため,変形した波形は復元され,雑音は取り除くことが可能です。
これと同じ理由で,ディジタルデータは,品質を劣化させることなく保存したり,劣化させずにコピーできるようになっています。
- 次に,LPレコードと音楽CDを比べてみると,音楽CDの方が記録データの抽出が簡単です。
曲の頭出し機能については,音楽CDの仕様として最初から備えられたものなので,比較の対象とすることができません。しかし,ディジタルであるが故に,頭出し機能を付けることができたのです。
ディジタルデータの場合は,どのデータがどこにあるかを1か所に記録し,さらに,これを基にして瞬時に特定の場所を呼び出すことができます。
ところが,アナログデータでは,片っ端から流してみないと境界を区別できません。それに,曲と曲の境目なのか,曲の中で音が小さくなっているだけなのかを判別するのも困難です。
どちらもディスク状の記録媒体なので,物理的にはランダムアクセスが可能ですが,ディジタルでないとランダムアクセスを有効に活用できません。
- 【ノート】
- こうした特徴を利用して,簡単に編集できるところがディジタルデータのメリットで,簡単に取り扱いたいからディジタル化するのです。
ただ単にディジタル化することは,何の意味もありません。
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