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使えないカメラ

 「未来のDTVシステム」というコンテンツを掲載しはじめてから既に5年が経ちましたが,なかなか便利なDTV環境が登場しません。 映像の不法コピーなどの供給側の懸念は理解しますが,そもそも私的複製までも厳しく制限されるのは問題であると考えるし, 個人的に撮影する映像について,画質や利便性が損なわれたままであることは大きな問題であると考えます。



  1. 今時なぜテープ?
     むかーしむかし,まだハードディスクがなかった時代。当時のメインフレーム(汎用コンピュータ)の記憶媒体はオープンリールしかありませんでした。 一次処理したデータの書き込みなど,一時的なデータストアであっても記憶先はテープ。 テープの動きを見ていると,処理中にエラーがあったか順調に処理が進んでいるか分かったそうです。
     テープは,比較的安価で容量を稼ぎやすい便利な媒体です。 でも,今時,コンピュータの記録装置にテープを使いたいと思う人はいません。 早送りしたり巻き戻したり,順次記録しかできない愚鈍な媒体は,万が一のためのバックアップ以外には使いたくない。 誰だって,ランダムアクセスできるディスク媒体の方が便利と思うはずです。
     なのに,どうしてビデオカメラはテープが主流なのでしょうか?
     ビデオカメラを使っていて,最も困るのは撮り溜めたテープでしょう。 場所を取るからではありません。困るのは見る機会がないことです。 とにかく面倒。こまめにキャプションを書き置いても,いちいちカメラをテレビに繋いでテープを送るだけでうんざり。 見たいシーンを簡単に見られないことが最大の難点です。 DVDやPCに記録し,いつでも簡単に見られるようにしたい。 いちいちキャプチャしてオーサリングソフトを使ってDVDを作成するのではなく,繋いでポンで簡単にデータを移したい。 これが普通の感覚ではないでしょうか?
     DVD-RAMビデオカメラは,これに近い操作体系を提供してくれます。 しかし,上記の要件を考えたとき,何も媒体がDVDである必要はありません。 iVDRでもいいし,容量と速度が満足できるようになればコンパクトフラッシュやSDカードなどのメモリーカードでもいいわけです。


  2. 誰のための規格?
     時々,「次世代ディスクはハリウッドが決める」などという風潮の報道を見かけます。
     んなことは絶対にありません。 ハリウッドは自分たちの利益を守るため,自分たちが保有する映像資産をエサにして,画質について要望したり,海賊版を防ぐためにコピーガードを要求したり,いろいろ口を出しているだけです。 ブルーレイとHD DVDの二つの規格ができたとしても,彼らは大して困りません。 DVDが主流になってもDVDとVHSの両方で映画が供給されているように,売れさえすれば彼らは困らないのです。 ブルーレイとHD DVDの両規格で映像を売るだけの話です。
     結局のところ,次世代ディスクを決めるのは消費者です。 そして,消費者は多少の画質の差や容量の違いなんて,少々気にすることがあっても決め手にはしません。 一番の決め手は値段。そして使い勝手です。 ハイビジョンの画質で見られて,DVDも見られて,録画できるのであれば,規格の違いなんてどうでもいい。 安いことが一番というのが全体の傾向でしょう。そして,どちらが勝っても引き分けても,誰も困らないのです。
     本気で規格統一したいのであれば,DVDフォーラムとかブルーレイアソシエーションなんていい加減な場で決めず,ISOで決めればいいのです。 そうならない理由は,規格を作っている側の利権の問題であり,ハリウッドや消費者の問題ではありません。


  3. ソニーというヤクザな企業
     あえて実名で書きます。もうソニーのゴリ押しはうんざり。ソニーは消費者向けベータの敗退がトラウマになっているのでしょう。 あちこちの規格に口を出したりかき回したり,彼らが通ったあとには酷い規格が取り残されます。
     その具体例がVRMLIEEE1394,非接触型ICカードです。
     ソニーがW3Cに乗り込んでVRML部会をかき回したお陰で,いまや部会はないも同然まで縮小しています。 SGI社が主体のままソニーに邪魔さされずに進められていれば,今ごろJava Scriptやフラッシュを使わなくてもWeb画面上で同等のことができたことでしょう。 GIS(地理情報システム)の分野に携わる人間にとっては,ソニーに損害賠償請求でもしたくなるほどの惨事です。
     IEEE1394も同様。ソニーがかき回したがために,電源供給できない端子やディジーチェーンできない製品が氾濫し,結果としてUSB2.0に押されている状況に陥っています。 笑っているのはUSBを作ったインテル社だけ。 USB2.0とIEEE1394を比べたとき,個人的には国際規格であるIEEE1394を使いたいところです。 IEEE,ITU,ISOなど,国際規格を決める場で決まり,1社が自由に改変できない製品を使いたい。 しかし,ソニーがかき回し,Appleがサジを投げて「1製品1ドルよこせ」なんてしたがため,今ひとつパッとしないのが現状でしょう。
     非接触型ICカードにいたっては,さらに醜い状況です。 国際的には,蘭フィリップス社,独シーメンス社等が中心となって策定したISO14443規格が使われていたのに,日本では後発のソニー独自仕様がはびこっています。 一番の元凶は,JRがソニーに担がれてしまったことでしょう。 Suicaが登場したとき,多くのIT関連企業が「どうして国際標準を採用しない」と不平をもらしたものです。 ローカルスタンダードが完全に悪であるとは言いませんが,結果として導入事業者は割高な製品を使うことになり,それが値段に転嫁され,知らず知らずのうちに消費者が不利益をこうむります。 さらに困るのが政治家で,こういう現状を知らずに「JR以外でもSuicaを」などと発言する輩がでる始末。 日本国内のみ,SuicaとEdyカードで席巻したソニーは,日本国内の成果をもって,世界標準規格に対応を迫っているわけです。
     二度とベータを繰り返さないため,ゴリ押し,我田引水,パクリ,何でもありのロビー活動事業者が現在のソニーです。 家電業界は,コンプレッサーであれば日立や三菱,大型ブラウン管であれば三菱かソニー,電池は三洋などといったように,部品ごとの分業体制になっています。 その中でソニーを見ると,企業規模が小さく,作っている部品も多くはありません。 あちこちから部品を集めて製品を作り,イメージ戦略で売りさばく。 企業規模に比べ過剰な宣伝費用のためか,製品の耐久性は高くない。 それでもイメージで購入する消費者も多いし,ソニーが売れるとみんな儲かるので誰も文句を言わない。 これが日本の家電業界でしょう。


  4. ソフトウェア技術の1社独占の怖さ
     ハードウェアの仕様は,例え1社が知的所有権を握っていてもライセンス生産される場合があります。 例えば,VHSのライセンスをJVCが持っていても,多くのメーカーがライセンス生産しているため,JVCが勝手に仕様を追加したとしても他社が追随する保証はありません(ライセンス生産の契約内容にもよりますが…)。 これに対し,ソフトウェアの1社独占技術は非常にやっかいです。ライセンス生産はありえず,1社の意向によって勝手に仕様が変わります。
     いい例がAdobeのAcrobatです。 無償のAcrobat Readerを使えば,誰でもPDFを閲覧できるし,PDFの作成も簡単なため,インターネット上で多く使われています。 しかし,利用者から見えないところに問題が隠されています。
     随分前のことになりますが検索サイトに関わったことがあります。 この時,Acrobat SDKを利用してPDF検索機能を実装しようとしました。今では多くの検索サイトが実現している機能です。 しかし,この機能を実現するために購入したAcrobat SDKは,新しいPDF Writerで作られたPDFが読み取れない,Writerで作られたPDFは読めてもDistillerで作成したPDFは読めない,テキスト抽出許可の設定で作られたPDFであってもパスワードが設定されていると読み取れない,などなど一部のPDFしか扱えない代物でした。 もちろん,Adobe社はまともな対応をしません。アメ公ですからね,想定外の利用法ということでパッチリリースもしないし,ましてや謝罪なんてあり得ません。 あれから何年も経っていますが,先日,某T社のエンジニアに聞いたところ,相変わらずこの問題が残ったままだそうです。 つまり,多くの検索サイトの検索結果にPDFが表示されますが,全部のPDFが対象になっているわけではありません。 PDFを用意する人は,この点に注意しないと検索サイトから無視されるし,検索サイト側もAdobe社のSDK以外に頼るソフトウェアはないのです。
     余談ですが・・・,今は電子政府・電子自治体関係の仕事から離れているのでAdobeやソニーと関わらずに済んでいますが,電子証明にAdobeのPDFやソニーのICチップを採用しているところがあります。 勧めるベンダーもセンスが悪いと思うし,採用するお役所側も知識や認識が不足しています。 税金の使い道や市民の安全性を特定の企業の独自技術に集約してどうするのでしょうか?
     話を戻して。1社が独占するソフトウェア技術はこういう怖さがあります。 ファイルを編集するためには特定のソフトウェアに依存するしかなく,仕様が変わることを防ぐ手立てもありません。 ビデオファイルも同じです。HD DVDでWMVが使えるようにすることは構いませんが,このフォーマットが席巻して得をするのはMicrosoft社のみであり,その他の企業や消費者は,1社の供給するソフトウェアに依存することになります。


  5. 今後のビデオカメラに期待すること
     ブルーレイとHD DVDを比べたとき,今のところブルーレイの製品化が先行していること,ゴリ押しソニーとマネした産業(松下産業)という最強にして最凶の組み合わせが推進していることから,ブルーレイはそれなりに売れることでしょう。 でも,HD DVD陣営を率いる東芝はソニーや松下より企業規模が大きいし,HD DVDはその仕様から安価に作ることが容易なので,HD DVDの巻き返しも容易でしょう。 ただし,H.264に対応する点は評価しますが,WMVを採用する姿勢は疑問が残るところです。 いずれにせよ,どちらが勝つか引き分けるか興味ありませんが,欧米でも日本でも消費者の知らないところでソニーのやり口に反発する声は大きいので,ハイビジョンを録画したい人はしばらく様子を見たほうが安全でしょう。
     現時点で最も興味があるのは今後のビデオカメラです。 最初に書いたように撮りためた映像を手軽に見られることが重要です。 日立と松下のDVD-RAMカメラは,画質もそれほど悪いわけでもなければ撮った映像の扱いも容易なので,なかなかいい線までいっていると思います。 しかし,媒体の容量が増える見込みが薄いこと,DVDである以上,画像サイズを大幅に変更することができないところが弱点であり,製品の仕様として行き詰まっている点では,DVと大差がありません。 こういう観点では,三洋のMPEGムービーの方が将来性を感じます。
     この他の動きとしては,ハイビジョン撮影できるDV(HDV)なんてセンスの悪いビデオカメラが開発されていますが,そんな暇があるならiVDRを使ったビデオカメラでも作って欲しいところです。 放送業界向けなら好きにすればいいですが,いまさら一般消費者にテープを使わせようとするのはいかがなものでしょう。 iVDRであれば,デジカメのメモリーカードを容量の大きなカードに交換するのと同様,容量の大きなディスクを買い足すこともできます。 デジカメやDVD-RAMカメラと同様に,PCに映像を取り込むのも容易です。 そして容量を増やす余地があるからこそ,様々なサイズ,様々な映像規格で記録する機能を実装できるわけです。


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