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オルタネーター |
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自動車に使われている発電機のことをオルタネーター(Alternator)と呼びます。なお,オルタネーターは交流発電機のことであり,ジェネレーター(Generator)は発電機の総称,ダイナモ(Dynamo)は直流発電機のことです。
アストロのオルタネーターの定格出力は13.8Vなので,通常であれば電圧計が14V前後を指しています。
電圧計の値が低くなってきた場合,オルタネーターの故障が疑われます。また,オルタネーターから異音がしている場合,故障が近いと考えた方がいいでしょう。
今回,オルタネーターから甲高い異音が発生し,アイドリング状態での電圧が12V程度まで下がってきたため,GM純正のオルタネーター(右の写真:クリックすると大きい写真が表示されます)を購入しました。
しかし,純正品はACDelcoのリビルト品のようです。ACDelcoのシールが貼られていますが,本体のケースに刻まれた社名はDelphiです。
この会社は部品供給先がGMに集中しているため,GMの低迷に伴って経営危機が噂されています。さらに他社から再生品まで供給されたら辛いところでしょう。
なお,バッテリーの交換を怠ると,充電量の低下からオルタネーターへの負荷が高くなり,故障しやすくなります。バッテリーは,こまめに交換しましょう。
また,ACDelco以外のリビルト品を使う人もいますが,たかだか1,2万円をケチって信頼性の低いパーツを選ぶのは,いかがなものかと思います。
オルタネーターが壊れてしまったら,お不動さんになってしまうのですから。
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安全確保 |
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「電気について」で説明しているように,車のボディはマイナス(アース)になっています。
塗料が絶縁体の代わりをしてくれますが,ボルトやナット,リベットなど,あちこちにむき出しのマイナス端子があるのと同じ状態です。
このため,電気配線を触るときは,必ずバッテリーのマイナス端子から配線を外しましょう。
「ちょっと触るだけだから・・・」と僅かな手間を惜しんだために,事故にあってしまった例が数多くあります。
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パーツの取り外し |
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エアクリーナー,MAF (Mass Air Flow) センサー,エンジン・ファン・カバー,ドライブ・ベルトを外します。
詳しい外し方は,「ドライブ・ベルトの交換」を参照してください。
オルタネーターの交換は力業の作業になりそうな予感がしたので,右の写真のように,余計なものが入らないよう,インテークにビニールを被せて作業をしました。
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オルタネーターの交換 |
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本来であれば,オルタネーターの裏側についているプラス端子と配線プラグを抜くのが先ですが,リアエアコンの配管が邪魔で手が届きそうにありません。
しかたないので,まず,オルタネーター本体を先に外します。
オルタネーターは,右の写真の通り,2本のスタッドボルトで留められています(純正のリアエアコンが付いていない車両は,裏側にもう1本ボルトが刺さっているかもしれません)。
オルタネーターは,スタッドボルトが刺さっている所にスリーブが入っていて,しっかり固定されています。
大きめの釘抜き,大きなレンチやスパナをテコに使ってエンジンから外します。
配線の長さが短いため外すのに少々苦労しますが,オルタネーター裏側の右寄りにプラス配線がナット(10mm)で留められているので,これを外します。
また,オルタネーターの左側に配線のカプラーがあるので,これも外します。
右の写真は,オルタネーターを外した状態で撮影したものです。赤丸が示すところにある留め具によってオルタネーターが押さえつけられています。
これを少々緩めてから新品をはめたいところですが,面倒なので力業の出番です。
プラス線とカプラーを繋ぎ,グリグリと無理矢理オルタネーターをはめ込みます。
2本のスタッドボルトを50N/mで締め,ドライブベルトをかけます(ベルトのかけ方は,ドライブ・ベルトの交換を参照してください)。
なお,スターターをちょっとだけ回してベルトを張るとき,吸い込み防止に使った袋を取り去るのを忘れないようにしましょう。
排気量が大きいので,ちょっとエンジンが回るだけでも大きな吸引力が働きます。
吸い込み防止の袋が吸い込まれてしまったら,元も子もありません。
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動作確認 |
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交換作業がすべて終了したら,エンジンを始動し,電圧計が14V付近を指しているか確認します。
オーディオ配線の電圧を計測できるナビが付いている場合は,これで電圧を確認します。
アイドリングで13.5〜13.8V程度,エアコン(前後)全開+前照灯上向き+ブレーキランプ点灯で12.5V程度あれば正常です。
クランプ式の電流計がある場合は,バッテリーのプラス線とマイナス線の電流量を測り、差を見て確認しましょう。
バッテリーが十分充電されていれば、プラスとマイナスで5A程度の差になります。
この差が大きい場合は、バッテリーの劣化が考えられるので、早めに交換しないと再びオルタを壊すことになります。。
なお,左の写真は,新旧のオルタネーターを並べて裏側を撮影したものです。左が新品(リビルト),右が取り外した故障品です。
交換したオルタネーターには,おそらく製品検査や点検用と思われる銅製の端子が,プラス端子の下側に3つ並んでいます。
また,裏側の黒色のケースも,若干形状が違う部分があります。
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