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手ブレを避けるために



  1. 手ブレ補正の仕組み
     ビデオカメラやディジタルカメラの広告に,「驚異のxx万画素!」という表示を見かけたことありませんか? 単純に考えると,画素数が多ければ多いほどきめ細かな画像になります。 しかし,「xx万画素」が,単純にCCD板の画素数を示しているのか,それとも有効画素数を示しているかに注意する必要があるのです。 有効解像度
     受光素子を集積している受光板が「CCD板」で,通常,カメラの記録データ量より多い画素が用意されています。 どんなカメラでも,記録するデータより多い映像をスキャン(オーバースキャン)し,必要な部分だけを抜き出して記録します。 この,実際に記録するときに使用する解像度を示すのが「有効解像度」です。 つまり,単純なCCD板の解像度ではなく,有効解像度と呼ばれるものがカメラの本当の解像度を示しています。
     一般的に,有効解像度を「xx万画素」と表記しているメーカーのカタログは,ちゃんと「有効解像度=xx万画素」と記載しています。 このため,「有効解像度」という言葉の見あたらないカタログを見かけたら,直接メーカーに問い合わせたりしないと,本当の有効解像度が分かりません。

     多くのビデオカメラは,このCCD板のオーバースキャンを利用して,「ディジタル手ブレ補正」や「ディジタルズーム」を実現しています。 ディジタル手ブレ補正を使うと,どうしてもフレームに妙なぶれが出たり画質が劣化します。 また,ディジタル・ズームは,有効解像度を小さく(少なく)しているので,光学式ズームに比べると画像が荒くなります。 メーカーの人間は,妙なブレや劣化を否定しますが,仕組みが仕組みであるため,ブレや劣化が避けられません。 つまり,ディジタル手ブレ補正もディジタルズームも「使えないことはないけれど,当てにはできない程度の代物」ということに注意する必要があります。
     ただし,キヤノンのシフト式レンズのような光学式手ブレ補正は,機械的に動作するためクセはあるものの,クセを理解して使うことで自然な映像にすることができます。 また,光学式ズームはディジタルズームに速度が負けるものの,劣化のない映像が得られます。 「アナログとディジタルの違い」にも記載していますが,ディジタルは便利でも万能ではありません。 自然世界はアナログなので,アナログ技術に頼る方が,より自然なものを手にすることができます。 ディジタル手ブレ補正やディジタル・ズームを使うなとは言いませんが,当てにならないものだと割り切って使ってください。

  2. 接写か三脚を使いましょう
     動きの早い被写体を追う場合は,「ファインダーについて」で記載した覗き型のファインダーを使って手持ちで撮影する必要があります。 しかし,入学・卒業式や運動会,発表会などの撮影では,遠距離から定点撮影することの方が多いでしょう。 先に書きましたように,手ブレ補正はあまり当てになりません。 つまり,手持ち撮影をするならばズームアップ撮影を控え,遠距離から撮影するならば三脚を使った方が良いということです。 三脚
     ブレは,撮影点と被写体の距離に,ブレの角度のタンジェントを乗じることで近似値が得られます。 つまり,被写体との距離,又は,ブレの角度を小さくすれば,ブレを小さくすることができます。 このため,接写すればブレを気にならないレベルに納めることができますし,被写体が大きく映るので,映像の主人公である被写体を見やすくすることができます。 逆に,どうしても遠距離から撮影するのであれば,三脚を使ってタンジェント角を小さくすることで,見やすい映像にすることができます。

  3. 三脚で水平を取るコツ
     三脚を据え付けるとき,高さを気にするとカメラ台が水平にならなくて,水平に気にするととんでもない高さになったりしませんか? 三脚を据え付けるときは,以下の次の手順で据え付けてみてください。
    1.  脚を閉じた状態で,目的の高さより2割り増しの高さにカメラ台を引き上げて,脚の長さを固定します。(3つの脚を同じ長さにします。)
      三脚の引き上げ
    2.  一本の脚を,前方の地面にしっかり据え付けます(前に傾けて,前方に一つの脚を据え付けます。)。
      脚の一つを前に据える
    3.  次に残りの2脚を片手に1脚ずつ持ち,カメラ台が水平になるように注意しながら開きます(残り2脚を据えるのではなく,カメラ台が水平になるように2脚を開くつもりで設置する。)。
      2脚を据えながら水平を取る


  4. ドーリー
    ドーリー  ドーリー又はドリーと呼ばれる,三脚用の台車があります。 ドーリーを使うと,アングルを変えずに移動することができるので,床や地面が平らな所であれば,ちょっとユニークな映像を撮ることができます。 例えば,被写体に近づきながらズームアウトしたり,被写体から遠ざかりながらズームインすれば,被写体を強調した絵を作ることができます。
     なお,ドーリーを購入するときは,できる限り車輪の大きなものを選んでください。車輪が小さいと,ちょっとしたでこぼこでも揺れてしまいます。


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