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将来的なビデオ編集イメージ

 「現状のDTVの問題点」に記載したように,コンピュータからソース映像を直接扱えるようにすることで, 従来のDTVの編集手順に比べ,ディジタルの利点を生かしながら編集手順を短くすることができます。



  1. ビデオ編集データについて
     TV放送用のビデオ作成では,オフライン編集と呼ばれる編集手法があります。

    1.  カメラ撮影などでソース映像を収録したマザーテープを作ります。
    2.  マザーテープのコピーを使って,放送の長さに合わせた,放送には使わないダミーのビデオを作成します。(オフライン編集)
    3.  編集したビデオのタイムコードをエディットシートに書き写します。
    4.  エディットシートの数値を編集機に入力し,マスターテープを編集機にかけると,自動的に放送用ビデオ(完全パッケージ)が作成されます。

     コンピュータを使ったノンリニアビデオ編集作業は,コンピュータからソース映像を扱える,扱えないに関わらず,オフライン編集のエディットシート作成に似ています。 Adobe PremiereやUlead Media Studioなどのビデオ編集ソフトを使い, コンストラクションウィンドウやタイムテーブルウィンドウと呼ばれる編集画面を使った編集作業は,まさに,コンピュータを使ってエディットシートを作成しているのと同じです。 これらのノンリニアビデオ編集ソフトでは,編集データをプロジェクトファイルと称してコンピュータに記録しますが,このデータファイルの中身は,オフライン編集のエディットシートと大差ありません。
     この他,現在使われているビデオ編集システムの中にも,編集データをエディットシートと呼んでいるものもあります。 このため,下に記載する将来的なビデオ編集イメージでは,コンピュータで作成するビデオ編集データやその編集画面のことを,エディットシートと呼びます。

  2. 将来的なノンリニアビデオ編集のイメージ
    1. ソース映像の撮影
       DVD-RAMDVD-RWHDDビデオデッキ,カメラなど, コンピュータで扱える記憶媒体を使ったビデオカメラを使って,ソース映像を撮影します。

    2. ビデオ編集の準備作業
       DVD-RAMやDVD-RWをコンピュータのDVDドライブで扱ったり,HDDをコンピュータのドライブとして接続した場合,記録内容の参照だけでなく,映像メディアの抜き差しや接続の管理をOSから行えるようになります。 すなわち,複数の映像メディアの記録データを,ビデオ編集ソフトなどのアプリケーションを使って容易に管理できるようになります。
       この利点を使って,従来,紙などに記録していたキャプションを,コンピュータ上で作成することができるようになります。 ビデオ編集ソフトにキャプション作成機能が用意されれば,編集時に必要なシーンを呼び出すことが簡単になるでしょう。

    3. エディットシートの作成
       コンピュータからソース映像を扱えるようになっても,その編集作業は,「ビデオ編集の操作」で紹介したノンリニアビデオ編集手順と大きく変わることはありません。 コンピュータにキャプチャしたビデオファイルから編集に使うシーンを選ぶのではなく,ソース映像を直接操作して必要なシーンを読み出せるようになる点が異なるだけです。 そして,従来,コンストラクションウィンドウやタイムテーブルウィンドウに記録していた編集内容を,エディットシートとして記録することになります。

      エディットシートの作成


    4. 完全パッケージの作成
       従来のノンリニアビデオ編集では,カノープスのDVRex-M1とRex Editを使った場合を除き,編集結果を一つのビデオファイルとしてコンピュータに記録し,これをアナログ出力したり,DVカメラやDVデッキに出力していました。
       しかし,コンピュータから映像メディアを直に扱えるようになると,編集結果をビデオファイルにしたり,転送速度に捕らわれることなしに,直接,映像メディアに書き込むことが可能になります。 ビデオ編集ソフトが,エディットシートに記録された内容を基にソース映像を読み出し,シーンのつなぎ合わせや必要な編集効果を加え,映像メディアに書き込むことになります。

      自動編集結果出力

     以上のように,従来,
    1. ソース映像の撮影(及びキャプションの作成)
    2. ビデオキャプチャ
    3. ビデオ編集
    4. ビデオファイルの作成
    5. ビデオ出力
     という5段階かかっていた編集作業が,
    1. ソース映像の撮影(及びキャプションの作成)
    2. ビデオ編集
    3. ビデオ出力
     という3段階の作業手順で済むようになります。
     また,ビデオ編集時の映像の読み出しとビデオ出力(完全パッケージの作成)では,映像メディアをコンピュータのドライブで扱ったり, コンピュータのドライブとして扱うことになるため,転送速度に悩まされることがなくなります。


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