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映像ソースの作成は,ビデオカメラで撮影したり,平面や3Dの絵を作ったり,ミニチュア模型をコマ撮りしたりなど,様々な作成方法があります。
また,編集においても,リニア編集とノンリニア編集,さらにはプリ・プロダクションとポスト・プロダクションなど,編集方法にも様々な手法があります。
しかし,「映像を作る」ということがソースの作成や編集の最終目的であって,どんな手段を取るかということは大きな問題ではありません。
様々な場面で,5W1Hという言葉を見かけることがあります。 5W1Hは,「誰が(Who)」,「いつ(When)」,「どこで(Where)」,「なぜ(Why)」,「何を(What)」,「どのように(How)」という6つの要素を指し, 小説やスピーチ,ディベートなどの様々な場面で,この6つの要素を盛り込んで表現することが重視されています。 映像の世界でも同様に,この5W1Hを含めて,映像を使って伝える言葉(内容)を表現しようという概念が映像言語です。 要は,映像を扱う場合も,文章を書く場合とまったく同じということです。 文章を書く場合,表現する内容に合わせて言葉を選んだり,5W1Hの順番を変えることによって中心となる内容を浮かび上がらせます。 これと同様に,映像を撮ったり編集する場合も,内容に合わせて絵を撮ったり選んだりし,5W1Hの順番を変えて編集することで伝える内容を浮かび上がらせます。 例1,2ともに,ドキュメンタリーの冒頭シーンと考えてください。 例1と2では,多少,順番と絵が異なりますが,表現している内容は同じです。 しかし,どちらも5W1Hの6要素のうち,いつ,なぜ,どのようにして,という3つの要素については,まだ表現していません。 このため,この冒頭シーンを見た人は,どこの誰が主人公であるかは分かるので,彼等がどのような目的で野球をしているかに疑問を持ちます。 そこで,この冒頭シーンの後に,例えば「2か月後に開催される全国大会出場へ向けて,ユニークな練習をしている」などの映像を見せることで, 彼等の目的や手段を中心題材としたドキュメンタリーができあがります。 このように逆説的に作る方法も考えられます。 つまり,目的を出す → 誰が? → どこの誰かを見せる → どのように? → 具体的な練習メニューや方針などを見せる, という手順で,彼等がどのように目的を達成したかを追いかけるドキュメンタリーとした例です。 ここで注意して欲しいのは,例1〜3では,編集に使う映像が微妙に異なることです。 黒沢明やスティーブン・スピルバーグのように,最初から完成した映像を頭において撮影するのもいいですし, 逆に,とりあえず5W1Hの要素を外さないことだけを頭において「使える絵」を撮り,集めた絵に合わせて5W1Hの順番を変えて編集する方法もあるでしょう。 いずれにせよ,こうした5W1Hの要素を外さないように撮影し,5W1Hを組み立てて編集することで,見る人に何かを伝える映像を作り上げることができます。 ビデオの撮影は,映像言語の言葉を記録することです。 技巧に凝るのではなく,以下の基本的な事柄に注意して撮影すると,後々編集が容易な映像を撮ることができます。 初心者がビデオカメラを持ったとき,よく失敗してしまうのが長い時間の1シーンを撮ってしまうことです。 映像言語を使ってビデオを作り上げるとき,基本的には,1シーンが一つの言葉になります。 複数のシーンを使って,場所の説明をしたり,主人公がどんな人であるかを表したり,誰が何をしようとしているのかを表現します。 例えば,私たちが普段見ているTVや映画では,どんな長さのシーンが使われているでしょうか? どんな映画やTV番組,CMでも,大半のシーンは,わずか数秒の長さしかありません。 そして,比較的長いシーンでも,10秒以上続くような映像は,ごく希にしか見かけないと思います。 長いシーンを使って一連の事柄を見せる場合もありますが,基本的に,一つのシーンで一つの事柄を説明するのであれば,それほどの長い時間を必要としないことを示しています。 今は,リチウムイオンなどの高性能バッテリーや省電力化が進んだお陰で,何時間でも撮りっぱなしができるようになっています。 しかし,無意味にだらだらと同じ絵が続くことほど,見せられた人が退屈するものはありません。 意識して,一つのシーンに一つの意味を持たせるようにすると,後々編集する際にも使い易いシーンを用意することができます。 例えば,子供の徒競走を撮るのであれば,スタートの順番待ちで1カット,スタートラインにつくところで1カット,スタートからゴールを1カットという具合で撮れば, 何も手を加えずにダビングしても,見る人の気を引きやすい映像になります。 次に初心者が陥りやすいのは,妙に凝ったカットを撮ってしまうことです。 例えば,だらだらと退屈なシーンにならないようにしようと考えて,パンやズームを頻繁に使ったり, 無意味にハイ・アングルやロー・アングルを使った映像を作ってしまうことです。 普段,私たちが生活しているとき,ゆっくり見回したり何かに近づいて見たり,見下ろしたり見上げたりする機会がどれだけあるでしょう? 1日のほとんどの時間は,自分の目線から水平に,一カ所を数秒程度眺めることを繰り返しています。 つまり,無意味にアングルを変えることは,不自然で見ていて落ち着かない映像になってしまいます。 誰かに見せる映像を作るのであれば,水平・垂直を心がけて,なるべく映像の主人公の視点で撮影するようにしてください。 無意味にアングルを変えるのではなく,ごく自然に主人公の行動に合わせてアングルを変えることで,自然で見やすい映像になります。 ローラーコースタームービーと呼ばれる映画が数多くあります。 例えば,アルマゲドン,TAXi,STAR WARSのように,激しい映像が絶え間なく連続し,まるでローラーコースターのように息をつく暇もないような映画をローラーコースタームービーと呼びます。 (日本では,ジェットコースターという製品名がローラーコースターの呼称として使われていますが,正しい総称はローラーコースターです。 このため,ジェットコースタームービーとは言わず,ローラーコースタームービーと記載します。) 同じローラーコースタームービーでも,アルマゲドンのようにリアリティよりもイメージ,無意味に常に変わる視点使い続け,見る人を引きつけるだけの映画もあれば, TAXiSのように,ストーリーそのもののテンポが速いだけで,ストーリーに合わせて落ち着くべきシーンでは落ち着いた映像が使われているものもあります。 しかし,多くのローラーコースタームービーは,映像言語よりも映像そのものの表現に偏重する傾向があります。 このため,映画を見終わった後で,「あぁ,凄かった!」と誰もが思いますが,肝心のストーリーが頭に残りにくい傾向があります。 映像を作るとき,子供の運動会や発表会,友人の披露宴用のビデオなど,どのようなテーマの映像であっても,映像の中で最も強調したい部分があると思います。 運動会であれば子供が活躍した場面,発表会であれば子供の出番,披露宴用のドキュメンタリーであればプロポーズシーンなどのように,一番盛り上げなければいけない部分があるはずです。 これらのシーンを強調するために,子供が準備をしているシーンや,馴れ初めのシーンを普通のテンポで編集し, 強調したいしたいシーンを,ローラーコースタームービーよろしく激しい映像を速いテンポで編集したり, 逆に,香港映画のようにスローシーンを使って編集することによって引き立てる方法もあります。 編集作業は,単に5W1Hの要素を盛り込むだけではなく,シーンの長さや繋ぎ方を考えて,背景から中心となる場面までをストーリーとして見せることが重要です。 ノンリニアビデオ編集では,膨大な種類のトランジションやスーパー,テロップを使うことができます。 しかし,トランジションやスーパー,テロップは,映像言語ではありません。 あくまで,映像言語を取り扱う時に,補完的な効果を持たせるものでしかありません。 「トランジションについて」に記載したように,カット編集をトランジションの基本とし, 「テロップとスーパーについて」で記載したように,できる限り注釈を入れずに映像で表現した方がエレガントな映像になります。 その上で,ストーリーの流れを考えた絵と長さを組み合わせることで,よりテーマが伝わりやすい映像を作り上げることができます。
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